概要
インターネット上でファイルをやり取りする際、必ず必要となるのが「ファイル転送プロトコル」ですが、様々な種類があり、それぞれ異なる特徴や利点・欠点があります。
そこで今回は、初心者向けに4つの代表的なファイル転送プロトコルを徹底比較!
それぞれのセキュリティ、設定方法、速度などをわかりやすく解説し、最適なプロトコル選びをサポートします。
目次
【結論】どのプロトコルを選ぶべきか?
基本的にはセキュリティの高いSFTPやFTPSを、
シンプルな転送機能だけあればよいなら、SCPを選ぶと良いでしょう。
機密情報を扱う場合は、セキュリティの最も高いSFTPの利用を推奨します。
2024年現在、セキュリティの低いFTPの使用はあまりおすすめできません。
セキュリティの高さ
SFTP ≧ SCP > FTPS > FTP
速さ
FTP > FTPS ≧ SCP > SFTP
※実際の速度はネットワーク環境やサーバーの負荷などによって大きく左右されます。
設定の簡単さ
FTP > FTPS ≧ SFTP ≧ SCP
第1章:ファイル転送プロトコルとは?
- ファイル転送プロトコルとは、コンピュータ間でファイルをやり取りするためのルールや手順を定めたものです。具体的には、以下の役割を持っています。
- ・ファイルの送受信
- ・ファイル名やファイルサイズなどの情報伝達
- ・転送時のエラー処理
- これらのルールによって、異なるOSやネットワーク環境間でも、スムーズかつ安全なファイル転送が可能になります。
- 以下、FTP、FTPS、SFTP、SCPという4つの代表的なファイル転送プロトコルについて、初心者にもわかりやすく比較解説します。
第2章:FTP、FTPS、SFTP、SCP徹底比較
2.1 FTP(File Transfer Protocol)
- FTPは最も基本的なファイル転送プロトコルで、インターネット黎明期である1970年代から使われています。
- しかし、通信内容が暗号化されないため、データが盗聴されるリスクがあります。
- メリット:
- ・シンプルで使いやすい
- ・設定が簡単
- ・多くのクライアントソフトやサーバーソフトに対応している
- デメリット:
- ・セキュリティが低い
- ・データ転送が非暗号化
- ・ファイル名やパスワードなどの情報が盗聴される可能性がある
2.2 FTPS(FTP Secure)
- FTPSは、FTPにSSL/TLS暗号化を追加したものです。
- これにより、通信が暗号化され、FTPよりも安全性が向上しています。
- メリット:
- ・FTPの利便性を継承
- ・SSL/TLS暗号化でデータ転送を安全に保護
- ・FTPクライアントソフトの一部で利用可能
- デメリット:
- ・FTPよりも接続速度が遅い
- ・設定がFTPよりも複雑
- ・ファイアウォール(セキュリティソフト)に妨げられることがある
2.3 SFTP(SSH File Transfer Protocol)
- SFTPは、SSH(Secure Shell)を利用したファイル転送プロトコルで、通信内容が完全に暗号化されます。
- また、ファイル管理機能も備えており、最もセキュリティが高いプロトコルの一つです。
- GDPR(EU一般データ保護規則)やHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)などのデータ保護規則にも適応しています。
- メリット:
- ・SSHの高度なセキュリティ
- ・FTPよりも安全なファイル転送
- ・ファイル名やパスワードなどの情報が盗聴される可能性が低い
- デメリット:
- ・設定がFTPやFTPSよりも複雑
- ・FTPクライアントソフトの一部で利用可
2.4 SCP(Secure Copy Protocol)
- SCPもSSHを利用しており、ファイルを高速かつ安全に転送できますが、機能は限定的です。
- 主にファイル転送のみを行い、SFTPのようなファイル管理機能(ファイル名変更・削除…等)はありません。
- メリット:
- ・SFTPと同等のセキュリティ
- ・シンプルな構造で使いやすい
- ・コマンドライン操作に適している
- デメリット:
- ・SFTPと同等のセキュリティFTPクライアントソフトでは利用できない
- ・設定がFTPやFTPSよりも複雑
- ・ファイル管理や削除ができない
- ・ファイル転送中に通信が途切れたら、また最初から転送し直さなければならない
まとめ
- 基本的にはセキュリティの高いSFTPやFTPSを、シンプルな転送機能だけあればよく、かつ速度重視ならSCPを選ぶと良いでしょう。
- 機密情報を扱う場合は、セキュリティの最も高いSFTPの利用が推奨されます。
- 2024年現在、セキュリティの低いFTPの使用はあまりおすすめできません。