
受注・発注の「属人化リスク」とは?
今すぐ始める担当者が休んでも困らない仕組みづくり
「その件は〇〇さんじゃないと分からない」
受注・発注業務の現場で、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
一見スムーズに回っているように見える業務でも、特定の担当者に知識や判断が集中している状態は、大きなリスクをはらんでいます。
本コラムでは、受注・発注業務における属人化リスクの正体と、今日から取り組める対策について解説します。
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■ 1. 受注・発注業務で起こりやすい「属人化」とは
そもそも属人化とは、
業務の進め方・判断基準・注意点が、特定の個人の頭の中にしか存在しない状態を指します。
受注・発注業務では、次のような場面で属人化が起こりがちです。
・取引先ごとの特殊な対応ルールを担当者が暗記している
・発注数量の判断を「経験と勘」で決めている
・トラブル時の対応方法がマニュアル化されていない
・システムに入力されていない補足情報が多い
本人にとっては「当たり前」の作業でも、他の人には再現できない──これが属人化の正体です。
■ 2.属人化が招く典型的な問題について
① 担当者不在=業務が止まる
急な休みや退職が発生すると、
・どこまで処理が進んでいるのか分からない
・どの取引先に何を確認すべきか分からない
・発注漏れ・二重発注が起きる
といった事態が簡単に起こります。
業務が人に依存しているほど、組織としての耐久力は下がります。
② ミスやトラブルがブラックボックス化する
属人化された業務では、
・なぜミスが起きたのか分からない
・改善しようにも原因が見えない
・同じトラブルが繰り返される
という悪循環に陥りがちです。
個人の経験に頼るほど、業務改善のスピードは遅くなります。
③ 引き継ぎ・教育コストが異常に高くなる
「とりあえず横で見て覚えて」
「やりながら慣れてもらう」
こうした引き継ぎは、
・教える側の負担が大きい
・教わる側も全体像を掴みにくい
・習熟までに時間がかかる
結果として、人が育ちにくい組織になってしまいます。
■ 3. 属人化しないためのルールづくり・共通化の方法
①判断基準を言語化・数値化する
「この取引先は多めに発注する」
「この商品は在庫を切らさない」
こうした暗黙の判断を、次のように落とし込みます。
・発注点(在庫が〇個以下で発注)
・標準発注数量
・例外対応の条件
経験をルールに翻訳することが重要です。
②情報は“個人メモ”ではなく共有場所へ
Excelが個人PCに保存されている
メールやチャットにしか履歴が残っていない
この状態では属人化は解消されません。
・受注・発注履歴
・取引先ごとの注意事項
・過去トラブルと対応履歴
これらを誰でも見られる場所(システム・共有フォルダ)に集約しましょう。
③ 業務フローを「見える化」する
文章だけのマニュアルではなく、
・受注〜発注までの流れ
・判断が必要なポイント
・チェックすべき項目
をフロー図やチェックリストとして整理すると、
未経験者でも業務全体を把握しやすくなります。
④ システムで“人の代わり”をさせる
受注・発注業務は、仕組み化と相性が良い分野です。
・入力必須項目で抜け漏れを防ぐ
・過去実績を参照できる
・承認フローを統一する
「覚えなくても、見れば分かる」状態を作ることで、
属人化は自然と減っていきます。
■ 4. まとめ:属人化をなくすことは「人を守ること」
属人化は、
・会社にとってのリスク
・現場にとっての負担
・担当者本人にとってのプレッシャー
でもあります。
「その人がいないと回らない」状態ではなく、
「誰がやっても同じ品質で回る」業務へ。
受注・発注の仕組みを見直すことは、
組織全体の安定性と成長力を高める第一歩です。
■ 5.属人化対策の第一歩として
受注・発注の属人化を解消するためには、
ルールづくりや情報共有に加えて、
「誰がやっても同じ流れで処理できる仕組み」を用意することが重要です。
たとえばWEB受注システムを活用すれば、
-
受注内容を標準化できる
-
履歴や進捗を誰でも確認できる
-
担当者不在時でも業務が滞りにくい
といった形で、
人に依存しない受注・発注体制を構築しやすくなります。
まずは「属人化している業務はどこか?」を見直すところから、
少しずつ仕組み化を進めていくことが大切です。

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