後悔先に立たない!データ消失の恐怖と対策
大切なデータを失ってしまった場合、復旧には多額の費用と時間がかかります。場合によっては、完全に失われてしまう可能性もあります。
このようなリスクを回避するために、日頃から定期的にバックアップを取ることを強くおすすめします。
この記事では、種類や保存先、目的別でバックアップについて説明します。
保存先別バックアップ
ローカルバックアップ
ローカルバックアップは、データを手元の物理的なストレージデバイスに保存する方法です。以下にローカルバックアップの詳細について説明します。
ローカルバックアップの種類
・ハードディスクドライブ(HDD)
パソコンの内部または外部ハードディスクにデータを保存します。手軽で高速ですが、物理的な故障に対して脆弱です。
特徴:大容量でコストパフォーマンスが高い。
利点:比較的安価で大量のデータを保存できる。
欠点:物理的な衝撃や故障に弱い。
・ソリッドステートドライブ(SSD)
パソコンやその他の電子機器でデータを記録するために使用される記憶装置です。従来のハードディスクドライブ(HDD)とは異なり、回転する磁気ディスクではなく、フラッシュメモリと呼ばれる半導体素子を使用してデータを記録します。
特徴:高速な読み書き性能。
利点:HDDに比べて耐衝撃性が高く、故障リスクが低い。
欠点:HDDに比べて容量単価が高い。
・USBメモリ
持ち運びが便利で、簡単にデータをコピーできますが、容量が制限され、紛失や破損のリスクがあります。
特徴:持ち運びが容易で、小型。
利点:データの一時的な保存や持ち運びに便利。
欠点:容量が限られており、紛失しやすい。
・光学メディア(CD/DVD/Blu-ray)
長期保存に向いていますが、容量が少なく、書き込みや読み取りが遅いです。
特徴:長期保存に適している。
利点:書き込み後にデータの改ざんが難しい。
欠点:容量が少なく、書き込みや読み取り速度が遅い。
ローカルバックアップの利点
・高速なデータ転送
データのバックアップや復元が高速で、大容量データでも迅速に操作可能です
・オフラインアクセス
インターネット接続が不要で、ネットワークの影響を受けずにデータにアクセスできます
・プライバシーとセキュリティ
データが外部のサーバーに送信されないことで、データのプライバシーが保たれ、外部からのハッキングリスクが低いです
ローカルバックアップの欠点
・物理的なリスク
デバイスが物理的な損傷を受ける可能性があり、火災、洪水、盗難などのリスクがあります
・手動バックアップの手間
自動化されていない場合、手動でバックアップする必要があり定期的なバックアップを忘れるリスク。
・スペースの制約
物理的なスペースを必要とする為デバイスの数が増えると管理が煩雑になります
ローカルバックアップのベストプラクティス
・定期的なバックアップ
定期的にデータのバックアップを取りましょう。また、スケジュールを設定することによりデータ損失のリスクを最小化できます
・複数のバックアップデバイス
複数のデバイスにバックアップを分散させましょう。1つのデバイスが故障してもデータが保護されます
・オフサイトバックアップ
バックアップデータの一部を異なる場所に保管しましょう。物理的な災害からデータを保護できます。
・バックアップの暗号化
バックアップデータを暗号化して保存しましょう。データが盗まれても内容を守ることができます。
・バックアップの検証
定期的にバックアップの整合性を確認しましょう。データが正しく保存されていることを確認し、必要時に復元可能になります。
ローカルバックアップは、クラウドバックアップと併用することで、データの安全性と可用性を最大限に高めることができます。クラウドバックアップの利点と組み合わせることで、冗長性を確保し、さまざまなリスクに対する対策を強化できます。
ネットワークバックアップ
ネットワークバックアップとは、ネットワーク経由でデータを別の場所に保存するバックアップ方法です。利便性とセキュリティを兼ね備えたバックアップ方法です。
ネットワークバックアップの種類
・ネットワークアタッチトストレージ(NAS)
簡単に言えば、ネットワーク経由で複数の端末から利用できる外付けハードディスクのようなものです。
特徴:LANケーブルでネットワークに接続し、複数のパソコンやスマートフォンからデータを共有できます。
利点:複数のデバイスから同時にアクセス可能で、容量の拡張が容易。
欠点:初期コストが高く、設定がやや複雑。
・ファイルサーバー
ネットワーク上でファイルを共有・管理するためのサーバーです。
特徴:複数のユーザーが同じネットワークに接続することで、ファイルを共有したり、閲覧したり、編集したりできます。
利点:大規模なデータの管理が容易で、アクセス制御が可能。
欠点:専用のハードウェアと管理が必要。
・ストレージエリアネットワーク(SAN)
サーバーとストレージデバイスを専用の高速ネットワークで接続し、データの共有と管理を行うシステムです。
特徴:専用のネットワークを使用することで、従来のネットワークよりも高速なデータ転送を実現します。
利点:高性能で、データベースや仮想化環境に最適。
欠点:高価で、複雑な設定と管理が必要。
ネットワークバックアップの利点
・集中管理
複数のデバイスのデータを一元管理でき、データの整理と管理が容易で、効率的なバックアップが可能となります。
・スケーラビリティ
必要に応じてストレージ容量を増やすことが可能で、データ量の増加に柔軟に対応できます。
・自動化
自動バックアップスケジュールを設定が可能で、手動でのバックアップ作業を省略でき、定期的なバックアップが確実に実行されます。
・高速アクセス
ローカルネットワーク経由で高速にデータにアクセスし、データのバックアップや復元が迅速に行えます。
ネットワークバックアップの欠点
・初期コスト
専用のハードウェアやソフトウェアが必要なため、導入コストが高くなる場合があります。
・設定と管理の複雑さ
専門知識が必要な場合が多いため、適切な設定や管理ができないと、データが正しくバックアップされないリスクがあります。
・ネットワークに依存
ネットワークの状態に依存するため、ネットワーク障害が発生すると、バックアップや復元が遅延する可能性があります。
ネットワークバックアップのベストプラクティス
・定期的なバックアップ
バックアップスケジュールを設定し、定期的にバックアップを実行し、データの最新状態を保ち、損失リスクを最小化しましょう。
・アクセス制御
バックアップデータへのアクセス権を適切に設定し、データのセキュリティを確保し、不正アクセスを防止しましょう。
・データの暗号化
バックアップデータを暗号化して保存し、データ漏洩のリスクを低減し、セキュリティを強化しましょう。
・定期的なテスト
バックアップの復元テストを定期的に実施し、バックアップデータが正しく保存されていることを確認、必要時に復元できることを保証しましょう。
・異なる場所へのバックアップ
バックアップデータの一部を異なる場所に保管し、物理的な災害からデータを保護しましょう。
クラウドバックアップ
クラウドバックアップとは、データをインターネット経由でリモートサーバーに保存することです。これにより、データの保護、復旧、アクセスが容易になります。
クラウドバックアップの種類
・オンラインストレージサービス
インターネットを通じてデータを保存し、管理するためのサービスです。
特徴: ファイル共有やコラボレーションを主目的としたサービスですが、バックアップ用途にも利用できます。
利点: 使い方が簡単なものが多く、拡張性もあります。
欠点:バックアップ機能が限定的な場合が多い。
・バックアップサービス (BaaS)
データのバックアップと復元に特化したサービスです。
特徴: 自動化されたデータバックアップと管理を提供する為ユーザーはバックアップの設定や管理をクラウドサービスプロバイダーに任せることができます。
利点: 定期的なバックアップや自動化が可能。
欠点: 長期間のコストがかかる場合がある。
・ディザスタリカバリサービス (DRaaS)
災害などの緊急時に、システムやデータを迅速に復旧させるためのサービスです。
特徴: 災害時に、迅速に業務を再開できるようにするための包括的なソリューションを提供します。
利点: 高速な復旧とデータの損失を最小限に抑えられます。
欠点: 高コスト、複雑な設定が必要な場合がある。
・イメージバックアップサービス
パソコンやサーバーの全体像をまるごとバックアップするサービスです。
特徴: システム全体をバックアップすることで、ハードウェア障害やオペレーティングシステムの問題からの完全な復旧が可能になります。
利点: 完全なシステム復元が可能、包括的なバックアップ。
欠点: 大容量のストレージが必要、復旧に時間がかかる場合がある。
・クラウドアーカイブ
長期保存に適したクラウドストレージサービスです。
特徴: 頻繁にアクセスする必要がないデータを低コストで長期間保存できます。
利点: 低コストで大容量のデータ保存ができます。あ
欠点: データアクセスが遅い、アーカイブされたデータの取得に時間がかかる。
・ハイブリッドバックアップ
オンラインストレージとローカルストレージを組み合わせて利用するバックアップ方法です。
特徴: 重要なデータをクラウドに、その他のデータをローカルに保存することで、コストと速度のバランスを取れます。
利点: バランスの取れたコストとパフォーマンス、迅速なデータアクセスと長期保存。
欠点: システムの複雑さ、管理コストが増える可能性がある。
クラウドバックアップの利点
・コスト効果
ハードウェアの購入やメンテナンスが不要で、従量課金制のためコストを管理しやすいため、初期投資を抑え、必要な分だけ費用を支払うことができます。
・災害復旧
データは地理的に分散された複数のデータセンターに保存されるため、自然災害や物理的なトラブルからデータを保護します。
・コラボレーション
複数のユーザーが同時にデータにアクセスし、共同作業が可能なため、チーム全体の生産性を向上させます。
クラウドバックアップの欠点
・インターネットに依存
インターネット接続が必要なため、接続が不安定な場合や速度が遅い場合には、バックアップや復元が遅延する可能性があります。
・データのプライバシー
データは第三者のサーバーに保存されるため、データのプライバシー保護に関する懸念がある場合は、適切な暗号化やプロバイダーの信頼性を確認する必要があります。
・コストの変動
使用量に応じてコストが変動するため、データ量が急増すると予想外のコストが発生することがあります。
クラウドバックアップは多くの利点を提供しますが、特定のニーズや状況に応じて、ローカルバックアップやハイブリッドバックアップ(クラウドとローカルの組み合わせ)と組み合わせて使用することが最適な場合もあります。
クラウドバックアップのベストプラクティス
・定期的なバックアップ
データの定期的なバックアップを設定し、少なくとも日次で自動的に実行されるようにします。
・多層防御
重要なデータは複数の場所にバックアップします。例えば、クラウドバックアップとローカルバックアップを併用することで、より高い安全性を確保できます。
・暗号化
データをバックアップする前に、ローカルおよび転送中に暗号化することで、データの安全性を強化します。
・アクセス制御
バックアップデータにアクセスできるユーザーを制限し、適切な認証と権限管理を行います。
・バックアップの検証
定期的にバックアップが正常に行われているか、データの復元が正しく行えるかを確認するテストを実施します。
・保存期間とライフサイクル管理
データの保存期間を設定し、古いバックアップを自動的に削除することで、ストレージの効率を維持します。
・信頼性のあるプロバイダーの選択
信頼性とセキュリティが高いクラウドバックアッププロバイダーを選び、サービスの可用性とサポート体制を確認します。
種類別バックアップ
・完全バックアップ
全データのコピーを作成します。
復元が簡単で、すべてのデータを保護しますが、時間とストレージ容量を多く消費します。
・増分バックアップ
前回のバックアップ以降に変更されたデータのみを保存します。
時間とストレージ容量を節約できますが、復元には複数のバックアップが必要です。
・差分バックアップ
前回の完全バックアップ以降に変更されたデータをすべて保存します。
復元は完全バックアップと最新の差分バックアップだけで済みますが、増分バックアップよりは多くのストレージを使用します。
・ミラーリング
リアルタイムでデータのコピーを作成します。
常に最新のデータが保存されますが、データの誤削除やウイルス感染がそのまま反映されるリスクがあります。
・スナップショット
特定の時点でのシステム状態を保存します。
特定の時点に迅速に戻すことができますが、変更の履歴は保存されません。
データの必要性について 目的別
・データの保護
データはハードウェアの故障やソフトウェアのバグ、サイバー攻撃などによって失われる可能性があります。バックアップを行うことで、これらのリスクからデータを保護できます。
・データの復元
データが誤って削除されたり、ファイルが破損した場合でも、バックアップがあれば元の状態に復元することが可能です。これにより、業務の中断やデータの再入力による時間とコストの浪費を防ぐことができます。
・災害対策
自然災害や火災、水害などの物理的な災害が発生した場合、現地のデータは破壊される可能性があります。オフサイトバックアップやクラウドバックアップを利用することで、こうした災害からデータを守ることができます。
・法的およびコンプライアンスの遵守
多くの業界や国では、一定期間データを保存することが法律で義務付けられています。バックアップを行うことで、これらの法的要件やコンプライアンスに対応することができます。
・ランサムウェア対策
ランサムウェア攻撃によりデータが暗号化され、身代金を要求されるケースがあります。バックアップがあれば、身代金を支払うことなくデータを復元することができます。
まとめ
バックアップはデータ保護の基本です。システム障害、サイバー攻撃、自然災害などのリスクからデータを守るためには、定期的なバックアップが不可欠です。ローカルバックアップやクラウドバックアップ、外部ストレージなど、さまざまな方法を組み合わせることで、より確実なデータ保護が可能です。これにより、ビジネスの継続性を確保し、予期せぬデータの喪失から迅速に回復することができます。