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システム連携の第一歩:ばらばらのシステムが会社を疲弊させる現実

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システム連携の第一歩:ばらばらのシステムが会社を疲弊させる現実

システム連携の第一歩:ばらばらのシステムが会社を疲弊させる現実




1章  散在する情報と疲弊する現場

 

日々の業務で、異なるシステムからデータを手作業で集計したり、別のシステムに転記したりする作業に、うんざりしていませんか?
「またこの作業か」とため息をつきながら、時間ばかりが過ぎていく。そんな経験、多かれ少なかれ、どの企業でも直面しているのではないでしょうか。
例えば、営業部門がSFA(営業支援システム)に顧客情報を入力し、経理部門が会計システムに売上データを入力、そして生産管理部門が別のシステムで在庫状況を管理している。それぞれのシステムはそれぞれの部門にとって便利かもしれませんが、それらが連携していないために、結果として「顧客ごとの売上と在庫の状況を一覧で見たい」といったシンプルな要望さえ、複数のシステムからデータを抽出し、Excelなどで手作業で加工しなければならないといった非効率な状況が生まれています。
この手作業によるデータ処理が、見えないコストとして企業の利益を蝕み、従業員のモチベーションを著しく低下させているのです。

2章 なぜシステムは「ばらばら」になってしまうのか

企業が成長する過程で、部門ごとに最適なシステムを導入したり、特定の業務に特化したサービスを利用したりすることは自然な流れです。
例えば、新しい事業を開始する際に、その事業に特化したクラウドサービスを導入したり、特定の業務課題を解決するためにパッケージソフトウェアを導入したりするケースは少なくありません。
また、M&A(合併・買収)によって異なるシステムを持つ企業が統合されることもあります。しかし、その結果として、販売管理、顧客管理、会計、生産管理など、様々なシステムが個別に稼働し、それぞれが独自のデータを保持する「サイロ化」が進んでしまいます。
導入時には個々のシステムの利便性が重視される一方で、それらシステム間の連携については後回しにされがちです。
結果として、部分最適化が進み、企業全体の視点で見ると情報が分断され、業務プロセスに大きなボトルネックを生み出してしまうのです。

3章 手作業によるデータ連携が引き起こす問題


「ばらばら」のシステムが生み出す最も深刻な問題は、手作業によるデータ連携です。この非効率な作業は、多岐にわたる問題を引き起こします。

  • 時間とコストの浪費:
    従業員は本来の業務、例えば顧客との関係構築や新しいサービス開発といった価値創造につながる活動に集中できず、データの手入力や加工、確認作業に多くの時間を費やします。
    これは人件費という形で直接的なコスト増につながるだけでなく、残業時間の増加や、本来必要のない追加の人員配置など、見えないコストも発生させます。
  • ヒューマンエラーの誘発:
    手作業での入力や転記は、どんなに注意深く行ってもミスが発生するリスクがつきまといます。
    数字の打ち間違い、データの欠落、コピー&ペーストのミスなど、些細なエラーであっても、それが積み重なることで、誤った在庫情報に基づく発注ミス、顧客への誤った請求、あるいは間違ったデータに基づく経営判断など、ビジネスに深刻な損害を与える可能性があります。
  • リアルタイム性の欠如:
    手作業では、常に最新のデータを把握することが困難です。
  • 例えば、営業担当者が顧客に最新の在庫状況を伝えようとしても、システム間のデータ連携が手作業に依存している場合、タイムラグが生じ、正確な情報を提供できないことがあります。これにより、顧客からの信頼を失ったり、競合他社に先を越されたりするリスクが高まります。
  • 従業員のモチベーション低下:
    単純な繰り返し作業、特に手作業によるデータ転記や集計作業は、従業員の創造性や成長意欲を阻害し、モチベーションを著しく低下させます。
  • 本来、より創造的で価値の高い業務に時間を費やすべき優秀な人材が、こうした単調な作業に縛られるのは、企業にとって大きな損失です。離職率の増加につながる可能性さえあります。

4章  データが繋がらないことの経営への影響

個別のシステムにデータが閉じ込められ、それらが有機的に連携しないことは、単なる現場の負担に留まりません。経営層にとっても、以下のような深刻な影響を及ぼします。

  • 迅速な経営判断の遅れ:
    散在するデータから必要な情報を集め、それを分析可能な形にまとめるまでに膨大な時間がかかります。
    市場の変化や競合の動きが激しい現代において、意思決定に必要な情報がタイムリーに手に入らないことは、ビジネスチャンスの逸失や、リスクへの対応遅れに直結します。
    例えば、特定商品の売上動向をリアルタイムで把握できなければ、適切な在庫調整や販売戦略の立案が遅れ、機会損失や過剰在庫につながる可能性があります。
  • ビジネスチャンスの逸失:
    顧客情報、販売データ、マーケティングデータなどがバラバラに存在していると、顧客一人ひとりにパーソナライズされたサービス提供や、効果的なマーケティング戦略の立案が困難になります。
    顧客の購買履歴や行動パターンを横断的に分析できないため、潜在的なニーズを見逃したり、最適なタイミングでアプローチできなかったりすることで、競合他社に顧客を奪われるリスクが高まります。
  • 部門間の連携阻害:
    各部門が異なるシステムで独自のデータを見ているため、企業全体としての共通認識が生まれにくく、部門間の連携がスムーズに進まないことがあります。
    例えば、営業部門が新しいキャンペーンを企画しても、マーケティング部門や開発部門がその顧客データを十分に活用できないために、効果が半減してしまうといった事態も起こりえます。結果として、組織全体の生産性やパフォーマンスが低下し、企業競争力の低下を招きます。

 

5章 ばらばらのシステムから解放される未来へ

これまでの章で見てきたように、ばらばらのシステムは、現場の疲弊だけでなく、ヒューマンエラーの多発、リアルタイム性の欠如、さらには経営判断の遅れやビジネスチャンスの逸失といった、経営全体に大きな負の影響を与えます。
これらの問題は、単なる業務効率の悪化に留まらず、企業の成長を阻害し、競争力を低下させる要因となりかねません。
しかし、ご安心ください。この問題には解決策があります。システム間の壁を取り払い、情報がスムーズに流れるようにすることで、従業員は本来の創造的な業務に集中でき、経営層はリアルタイムなデータに基づいた迅速な意思決定が可能になります。

次回のコラムでは、「システム連携の第二歩:様々な連携方法で業務を最適化する」と題して、これらの課題を解決するための具体的なシステム連携方法について詳しく解説していきます。

貴社のシステムは、「ばらばら」のままで本当に良いのでしょうか?

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